2021年7月15日木曜日

退院サマリー

 退院サマリーの質的監査を自動化する・・・そう聞いて、退院サマリのサンプルが欲しいと思い、ネットをいろいろ探した。するとこんなものがあった。

退院サマリー作成に関するガイダンス

日本医療情報学会と日本診療情報管理学会の連名からなる退院時要約等の診療記録に関する標準化推進合同委員会というところが2019年9月に出している。この中に「HL7 CDA R2に基づいて電子化され、標準化された形として提案されている」という記述がある。これはHL7が2019年5月に出している「HL7 CDAに基づく退院時サマリー規約」のことだろう(同名の解説記事も参照)。

ガイダンスのP11に電子カルテから退院時サマリーへ自動流し込みをする様子が描かれている。P14には退院サマリー監査の実例も書かれている。これは渡邉らの「退院サマリー標準化の試み.退院サマリー評価点を通じて医療記載を改善する」3)を出典としている。また、P15以降は診療科ごとのサンプルが掲載されている。

【後日談】

調べてみると「HL7 CDAに基づく退院時サマリー規約」は2019年10月に厚生労働省規格になっていた。ところで「退院時サマリ―CDA文書のFHIRへの移植の可能性」という論文を見つけたが,これはどうも厚労省規格とは関係なさそうだ。


【参考文献】

  1. 渡邉 直, 岡田 定:医療記録の質的監査 退院サマリーの定量的・質的監査を通じて診療の仕方の質向上を狙う. 日本POS医療学会雑誌, 20(1), 61-65, 2016.
  2.  廣瀬 弥幸, 森田 知之, 井上 公介, 赤澤 祐子, 牟田 久美子, 北村 峰昭, 川崎 智子, 小畑 陽子, 浦松 正, 西野 友哉:医療記録の質的監査 質的監査の2つのアプローチ. 日本POS医療学会雑誌, 20(1), 54-56, 2016.
  3. 渡邉 直, 嶋田 元, 岡田 定:退院サマリー標準化の試み 退院サマリー評点を通じて医療記載を改善する. 日本POS医療学会雑誌, 19(1), 127-131, 2015.
  4. 脇田 紀子:電子カルテの監査 退院時サマリーの監査と課題. 日本POS医療学会雑誌, 17(1), 42-45, 2013.
  5. 渡邉 直, 高橋 長裕: ~標準化される退院時要約(退院サマリー)~-その構造とヘルスケアへの適用の意義-. 第39回医療情報学連合大会, 43-48, 2019.

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